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Morimori eat vegetables

宇内一童のブログ

エキセントリック職業対談 第1回|濱しげみ(村上龍評論家)

 

エキセントリック職業対談とは、ライター・アインツワッパが珍しい肩書きを持つ方をゲストにお招きし、お仕事について話を伺うコーナーです。

 

 

 

 

ワッパ:本日のゲストは、村上龍評論家の濱しげみさんです。よろしくお願いいたします。

 

 

濱しげみどうも。今日は村上について聞きたいってことだけども。

 

 

ワッパ そうなんです。今日は濱さんのお仕事についていろいろお聞かせください。現在「村上龍評論家」として活動されている濱さんですが、以前はどのようなお仕事をされてたんですか?

 

 

濱しげみんー、配管工ですね。

 

 

ワッパ:配管工は結構長くやられてたんですか?

 

 

濱しげみええ。ずっとです。配管をつなげるんですよ。一晩中。つらい仕事でした。

 

 

ワッパ:一晩中……それは大変ですね。それで今は配管工を辞めて、村上龍評論家に転身した、と。

 

 

濱しげみ:いえ、今も配管工です。並行して評論家をしています。

 

 

ワッパ:なるほど。配管工と評論家、ふたつの顔をお持ちということですね。どちらの職業に重点をおいているんですか?

 

 

濱しげみ:もちろん評論家としての側面ですね。

 

 

ワッパ:評論家としての活動はいつごろから始めたんですか?

 

 

濱しげみ50歳の誕生日に決心しました。

 

 

ワッパ:決心するに至った具体的なエピソードなどあればお聞かせください。

 

 

濱しげみ:え? ちょっとよく聞こえなかったんですが。

 

 

ワッパ:では、話を変えましょう。子供みたいな質問で恐縮なんですが、濱さんは村上龍がお好きなんですか?

 

 

濱しげみ:一口では答えられないですね、いまや。私は世界中で一番村上のことを考えています。本人よりもずっと深く。あなたは自分のことを好き嫌いで判断できないでしょう?

 

 

ワッパ:好き嫌いだけでは足りないですね。

 

 

濱しげみ:そう。好き、嫌い、でもやっぱ好き、そんな自分が嫌い、自問自答です。毎日。

 

 

ワッパ:なるほど。ということは、濱さんは村上龍が好きだ、と。そういうことですね?

 

 

濱しげみ:だから自問自答だって言ってるでしょうが。君の頭はコインロッカーベイビーなの?

 

 

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

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ワッパ:大変失礼しました。次の質問にいきましょう。濱さんの「村上龍評論家」というお仕事は、村上龍の著作についての評論なのでしょうか?

 

 

濱しげみ:もちろん著作が中心ですが著作に限らず、人としての村上、男としての村上、その男性自身、猛々しさ、肌の質感、目のにごり具合、そのすべてを評論しておるわけです。

 

 

ワッパ:なるほど。村上龍における総体的な評論、というわけですね。

 

 

濱しげみ:全方面からの村上評論。いわば「村上死すとも村上死なず!」というわけです。

 

 

ワッパ:深いですね。さきほど村上龍の目のにごり具合と仰いましたが、実際、にごってるんですか?

 

 

濱しげみ:実際はそうでもなかったです。ただ私の中の村上はにごっていました。汚水といっても過言ではないですね。

 

 

ワッパ:果たしてそのにごりは何に起因しているのでしょうか?

 

 

濱しげみ:この世界に対する怒り、悲しみ、そして主な原因は食生活でしょう。食の荒れ。すさみ。ねたみ。そねみ。原因はこれです。いわば「村上死すとも村上死なず!」というわけです。

 

 

ワッパ:なるほど。ねたみそねみですか。そしてそれは世界という対象にむけてのものだ、と。その「世界」の中にはもちろん人間が含まれますよね?

 

 

濱しげみ:もちろん。

 

 

ワッパ村上龍がねたみやそねみを感じたり、嫌悪感を抱くような人間のタイプってあるんでしょうか? また、あるとしたらそれはどういうタイプの人間なんでしょうか?

 

 

濱しげみ:きっとそれは現状に対して疑問を持っていない人間、自分の頭で判断できない人間、そして食事の際に口元からぽろぽろと米粒を落としがちな人間でしょうか。あと、でかい車で後ろからやたらと煽ってくる人間も嫌です。怖いですよね。あれ。

 

 

ワッパ:うしろから煽ってくる人間が嫌。それは濱さんの主観じゃなくて?

 

 

濱しげみ:勉強が足りないのでは? 『愛と幻想のファシズム』のあとがきに書いてます。村上自身が。怖いよね、あれって。

 

 

ワッパ:失礼しました。私の勉強不足でした。あまりにも濱さんの言い方に感情がこもっていたものですから。

 

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

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愛と幻想のファシズム(下) (講談社文庫)

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濱しげみ:さきほどから言っているように私は村上の全著作を読破しています。村上の考えが手に取るように分かるのです。余談ですが、友達の彼氏とすぐやっちゃうような女は割りと好きですね。

 

 

ワッパBLANKEY JET CITY の『左ききのBaby』を思い出しました。「誰とでも寝るような そんな女の子が好きさ」という歌詞があるんですよね。もしかしてその影響なんでしょうか?

 

 

濱しげみ:それもあります。村上龍の『だいじょうぶマイ・フレンド』と BLANKEY JET CITY の『小麦色の斜面』にはある種の共通点を見出してます。

 

だいじょうぶマイ・フレンド (集英社文庫)

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小麦色の斜面

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ワッパ:ある種の共通点、ですか?

 

 

濱しげみ:あくまである種の、です。

 

 

ワッパ:具体的にどのあたりに共通点があるのでしょうか?

 

 

濱しげみ:んー、強いてあげるとしたら、飛行機で隣の席だったらとても嫌だ、ということですかね。

 

 

ワッパ:どういうことですか?

 

 

濱しげみ:村上、または BLANKEY JET CITY がもし飛行機で隣の席だったら、嫌だなーって。怖いから。

 

 

ワッパ:それは濱さんの主観ですよね?

 

 

濱しげみ:違います。『テニスボーイの憂鬱』のあとがきに村上が書いてましたから。嫌だなーって。

 

 

ワッパ:それはさすがにウソですよね? あっ、今ちょっとうろたえましたよね?

 

 

濱しげみ:あなたみたいな人間ですよ。村上が最も嫌いなタイプは。

  

テニスボーイの憂鬱 (幻冬舎文庫)

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ワッパ:ショックです。私は村上龍に嫌われるタイプの人間なんですね……村上龍の嫌いなタイプと、濱さんの嫌いなタイプは一致しますか?

 

 

濱しげみ:ほぼ一緒ではないかとよく言われますね。ただ、わたしはあなたのことは嫌いではないですよ(笑)

 

 

ワッパ:よかったです。安心しました。今日はじめて笑ってくれましたね? これは段々打ち解けてきたと受け取ってよろしいですか?

 

 

濱しげみ:もちろん(笑)

 

 

ワッパ:ありがとうございます。紅茶のおかわりはいかがですか?

 

 

濱しげみ:それはいりません。

 

 

ワッパ村上龍はコーヒーと紅茶、どちらを嗜みますか?

 

 

濱しげみ:コーラです。シェイプアップコーラです。

 

 

ワッパ:やはり食生活に問題がありそうですね。でも、コーラを飲みながら小説書いてるのかと思うと、なんだか村上龍が可愛く見えてきますね。

 

 

濱しげみ:そう! わかってらっしゃる。村上はシュワシュワしておいしいってよく言ってますから。

 

 

ワッパ:シュワシュワというオノマトペがいいですね。そんなこと言いそうな顔じゃないのに。話を変えてもよろしいですか?

 

 

濱しげみ:もちろん。ただ、シュワシュワしておいしいって言っていたことだけは、みなさんに覚えておいてほしいですね。現代をサバイブする何かがそこにあると村上が言っていましたから。

 

 

ワッパ:興味深いですね。それは別の機会に是非聞かせてください。いまから私がする質問は濱さんにとってひどく愚劣に感じられるかもしれませんが、世間の声でもありますので質問させてください。

 

 

濱しげみ:ドキドキしますね。

 

 

ワッパ村上龍村上春樹との関係ってどんな感じなんですか?

 

 

濱しげみ:くだらない質問ですね。

 

 

ワッパ:濱さんは「Yahoo!質問箱」をご存知ですか?

 

 

濱しげみ:んー、あまりよくわからないですね。

 

 

ワッパ:なんでもいいんです。質問者が質問を書き込むんです。そしてその質問に対して回答を募る。そんなWebサイトがあるんです。

 

 

濱しげみ:なるほど。

 

 

ワッパ:さきほど私がしたような質問を、Yahoo!質問箱で質問している人間が少なからずいるんですよ。

 

 

濱しげみ:村上と、その村上某の関係についてですか?

 

 

ワッパ:「某」にトゲを感じたのは私だけでしょうか。濱さんはひょっとして否定的ですか? 春樹については。

 

 

濱しげみ:んー、正直あまりいい感情はもってないですよ。最新作の『女のいない某たち』も読んでないですし。

 

女のいない男たち

女のいない男たち

 

 

ワッパ:龍と春樹の読み比べって、本を読み始めた人間が通りがちな道ではありますよね。

 

 

濱しげみ:んー、世間的にはそのようですが。正直興味がないんですよね。私にとっての村上はオンリーワンですから。あ、コーラ持ってきてくれます?

 

 

ワッパ:氷は入れますか?

 

 

濱しげみ:もちろん。

 

 

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ワッパ:さきほど「世間的には」という言葉がでましたが、世間的な評価で言ってしまうと、村上春樹のほうがわかりやすい形で評価されていますよね?

 

 

濱しげみ:というと?

 

 

ワッパエルサレム賞、ですか? 受賞してますよね。国際的評価、と言えばいいんでしょうか。

 

 

濱しげみ:ああ、もらってましたね。確かに村上は国際的な大きな賞はもらってはいませんが。あなたの中では二人の評価はどう思ってるわけですか。あなた名前なんでしたっけ?

 

 

ワッパ:ワッパです。私は村上龍のほうが好きですね、今は。昔は春樹のほうが好きだったんですが。

 

 

濱しげみ:それはあなたの考えですから、それについて私は言及しません。

 

 

ワッパ村上春樹の熱狂的なファンのことをハルキストと言ったりしますけど、村上龍のファンにはそういった呼び名ってないんですか?

 

 

濱しげみ:聞いたことないですね。

 

 

ワッパ:呼び名をつけるとしたら、濱さんだったらどんな呼び名にしますか?

 

 

濱しげみ:愚問ですね。恥にまみれた質問ですよ。呼び名なんていらないのですよ。

 

 

ワッパ:ハルキストみたいにリュウイストにしちゃうと語呂が良くないから「ドラゴニスト」っていうのはどうですか? 龍だからドラゴンで、ドラゴニスト。

 

 

濱しげみ:えっ? それイイじゃないですか!

 

 

ワッパ:ありがとうございます。

 

 

濱しげみ:……ところでワッパさん。W浅野はご存知ですか。

 

 

ワッパ:いえ、知りません。何ですかそれは。

 

 

濱しげみ浅野温子と浅野ゆうこ、二人を称してW浅野といったものです。ワッパさん、この意味分かりますか?

 

 

ワッパ:意味ですか?

 

 

濱しげみ:そう、意味です。

 

 

ワッパ:人間という生き物はすぐ比べたがるということはわかりますが、意味となるとわからないですね。

 

 

濱しげみ浅野温子の方がグンバツにイイ女であるにもかかわらず、W浅野と称すわけですよ、世間は! 浅野といったら、温子でしょうが!

 

 

ワッパ:私も温子だと思います。ゆうこは前髪からしてだめですね。

 

 

濱しげみ:ワッパさん、分かってらっしゃる。前髪がダメなんですよ、ゆうこは! クリンとした前髪が鼻持ちならないわけですよワッパさん、鼻持ちならない女なんですよ、ゆうこは。ワッパさん、ワッパさん、聞いてますか? ワッパさん?

 

 

ワッパ:落ち着いてください。濱さんは「浅野温子評論家」としての顔もお持ちのようですね。

 

 

濱しげみ:これはこれは(笑)。うまいことをおっしゃる。ただ、かつてW村上と称されたことがあったわけです。もう私の言いたい意味はおわかりでしょう。

 

 

ワッパ:濱さんにとって、村上はオンリーワンだ、ということですね?

 

 

濱しげみ:その通り。

 

 

ワッパ:龍のほうがグンバツにいい男である、と。

 

 

濱しげみ:龍の方が、グンバツに。人としての龍、男としての龍、その男性自身、猛々しさ、肌の質感、目のにごり具合、そのすべてがグンバツに、です。

 

 

ワッパ:なるほどよくわかりました。さて、そろそろ終わりの時間がやって参りました。最後に濱さん、読者に対して言いたいことなどあればお願いします。

 

 

濱しげみ:コーラはシュワシュワしておいしい! 以上です。

 

 

ワッパ:それでは「エキセントリック職業対談」第1回目のゲストは、村上龍評論家の濱しげみさんでした。本日はどうもありがとうございました。

 

 

濱しげみ:こちらこそどうも。あっ、ワッパさん。コーラをもう1杯いただける?

 

 

(おわり) 

 

 

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